先日、日本キャリア開発協会(JCDA)茨城地区会主催のイベントに登壇させて頂きました。
私が実施した児童養護施設向けキャリア教育の実践事例を発表させて頂きました。
■イベントタイトル
児童養護施設向けキャリア教育の事例検討
~貧困・虐待の連鎖を断ち切るために、キャリアコンサルタントにできることは何か?
2020年9月13日(日)in Zoom
開催報告を公式Facebookページに掲載して頂きました。
拙い発表でしたが、少しはお役に立てたようで、とても嬉しく思いました。
ぜひ、以下のリンクからご覧ください。
あまり一般的なテーマではないので少し心配していましたが、思ったより多くの方に関心を持って頂けたようで安心しました。
より良き社会を創りたいという高い志を持ったキャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)の皆様から、強く熱意を感じました。
参加して頂いたJCDA会員の皆様と幹事の皆様には、心から感謝しています。
※念のため、Facebookページの内容を引用しておきます。
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プレイフルキャリア研究所(キャリア開発シンクタンク)代表「五十嵐 郁一様」にご登壇頂きました。
「児童養護施設」は身近なテーマではないため皆さんの反応も薄いのではと募集段階では気掛かりでしたが今回も、全国より49名の方にお申込み頂きました。
Facebookのビューは1,100を越えており皆さんの関心は高いテーマのようです。
先ずは、児童養護の現状や背景からキャリア支援プログラムを紹介頂き、
グループディスカッションでは支援に携わっている方からもリアルな声を聞け内容の濃い勉強会となりました。
●児童養護施設とは
・2~18歳の子どもたちが対象
・児童相談所が、家族による養育困難と判断した児童
約3万人が全国600施設に入所。
●児童虐待の現実
・相談対応は、全国で16万件(平成30年)
・毎年110~120%と増え続けている
・つくばでは、175件(前年比115%)
●児童虐待が起きやすい環境
・ひとり親家庭
・経済的困難
●社会的損失
・治安悪化
・婚姻率、出生率低下
・購買力低下(非正規等により)
●「18歳の壁」
・制度上、施設は18歳で退所させられ、
その後は自分で住むところを探す必要がある。
→独り暮らしによる経済面の負担増や
頼れる人が居なくなる孤独感。
・就職しても半数が離職、内半数が一年半以内。
→要因は、人間関係、ストレス。
(まずしさ、さみしさ、生きずらさ)
<18歳での円滑な自立のために、中学・高校からの現実的なキャリアプランニングが必要>
~自立支援プログラム「あかるいみらい作戦会議」~
施設外で自立した生活を維持するために、支援される側の目線に合わせ
「ジャングルのなかをサバイバル」するようなイメージで、「あかるいみらいキャンバス」をキャリコンと対話しながら作成。
~自立目標~
・250万円/年の所得、安定した住居
・5年以上の継続就労
・日常生活の問題に対し他者の支援を得て自己の責任で対処
グループディスカッションでは、実際に支援に携わっている方から現場の声を伺えました。
支援の必要なレベルがまちまちである難しさがある。
・考えることを知らない
・人との接し方を知らない
・約束を守ることを知らない
・辛いことを乗り越える意味を知らない
・働く意味を知らない
また、支援側の問題としては
・マンパワー不足により、目先の対応に追われ手一杯。
→支援者の早期離脱によりノウハウが蓄積しない。
・自立までのロードマップが描けていない。
→支援体制が縦割り組織であり連携が取れていない。
・全体をコントロールする仕組みが存在しない。
→責任が不明確(国、施設、企業)
国としては、どこかに就職させるまでが目的であり
その後のフォローが無いため早期離職につながる。
・本当に支援が必要な人は相談に来ない。
→孤立→状況悪化
キャリコンとしてどう関われるかについては、
ディスカッションでは答えに至りませんが関わるには「覚悟」が必要であり、支援者が抱え込まないためにも組織的な動きが重要であると感じました。
また、子どもたちに必要なのは「大人の愛情」であるという発言が印象に残りました。
身近ではないテーマですが「知ることで」負の連鎖を断ち切るきっかけとなるのではないでしょうか。
コロナにより格差が拡大していくなかで私たちにとっても他人事では済まされないテーマかと思います。
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