プレイフルキャリア研究代表の五十嵐です。
プレイフルキャリア研究所では、これから、事業活動の拠点である茨城県牛久市の自治において、市民主体の新たな時代にふさわしい教育への改善をサポートしていきたいと考えています。
では、私たち一人ひとりの市民が、実際に市政の主役となっていくために、具体的にできることは何でしょうか?
この記事では、そのことについてお話したいと思います。
1.はじめに
「地方自治」という言葉を聞いたことがあっても、あまり深く考えたことがないという方も多いと思います。
実は、日本の憲法は、牛久市が「地方政府」として、あたかも国と対等な独立した「ミニ国家」として独自に市政を行うことを保証しています。
「地方自治」とは、そのような、地域的なことがらを地域で決めて、地域で行うための政治的なしくみのことです。
牛久市の「地方自治」の主権者が、私たち牛久市民であることも、憲法で保障されています。
そして、その権限も、日本国民としての権限とは別に、地方自治法という法律で決められています。
例えば、日本国民としては、国会議員は直接選挙で選べますが、総理大臣は直接選ぶことはできません。
しかし、牛久市の住民としては、市長と市会議員の両方を直接に選挙で選ぶことができます。
市政においては、アメリカの大統領制のような政治のしくみになっています。
教育についても、何となく文部科学省が全部仕切っているようなイメージを持たれているかもしれませんが、徐々に「地方政府」の裁量でできることも増えてきています。
選挙の他にも、牛久市民が市政の主体としてできることは色々ありますが、あまり知られていなこともあるようです。
以下、「地方自治」の仕組みと、市民としてできることを、ざっくりとまとめてみます。
2.教育も含めた牛久市政のしくみのイメージ
以下の図は、教育も含めた牛久の市政の大まかな仕組みを表したものです。
あくまでも、まずはざっくりとしたイメージを掴んで頂けるように、簡単に省略した部分もあります。
赤い矢印で表示されている、①~⑥の番号が付いている項目が、私たち牛久市民の権利として認められていることです。
私たちが市政の主権者としてできることを示しています。
次に、上の図の①~⑥の番号が付いている、私たち牛久市民の権利として認められていることを、それぞれご紹介します。
3.牛久市民ができること
①市長、市議会議員の選挙
市長と市議会議員を選挙で選ぶことができます。
②市議会への請願、陳情
市議会に対し、「請願・陳情」として、住民から要望を出すことができます。
「請願」は、1名以上の市議会議員の紹介が必要ですが、採択・不採択の議決に向けて審査・調査が行われます。
「陳情」は、市議会議会議員の紹介は不要ですが、市議会の本会議での書類配布のみの対応となります。
「請願・陳情」の書式は、牛久市のホームページでダウンロードできます。
③市長への手紙
牛久市役所の広報政策課では、「市長への手紙」を受け付けています。
牛久市のホームページから、意見・提案を、市長に直接伝えることができます。
④市長への直接請求
一定数の署名を集める必要がありますが、「直接請求」という制度によって、住民から市政の重要な決定を請求することができます。
牛久市の法律ともいえる「条例」の制定や廃止を請求することもできます。
また、市長・市議会議員や教育委員の解職、市議会の解散、市が行う事務の監査なども請求できます。
例えば、住民として策定した条例の制定の場合は、有権者の50分の1の署名を集めれば、市長に請求できます。
請求を受けた市長は、市議会を招集して議決することになります。
直近に行われた、2019年の牛久市長選挙では、有権者数は69,619名でした。
条例制定の場合は、その50分の1となる1,392名程度の有権者の署名があれば請求できることになります。
⑤牛久市教育委員会への請願
牛久市教育委員会では、住民からの請願を受け付けています。
住民としての要望を、教育委員会に直接届けることができます。
教育委員会は、受理した請願について会議で報告し、採決を行うことになります。
請願に関する規則は、牛久市のホームページに記載されています。
⑥コミュニティスクールへの意見、協働活動
「コミュニティスクール」とは、地域住民と学校が力を合わせてより良い教育を実現するための「学校運営協議会制度」を導入した学校です。
現在、牛久市立の小中学校は、全校がコミュニティスクールになっています。
そのため、牛久住民は、「学校運営協議会」を通して、小中学校の運営について意見を述べたり、ボランティアなどで学校との協働活動に参加したりすることができます。
牛久市のコミュニティスクールの紹介は、以下の画像をクリックしてご覧ください。
「学校運営協議会制度」の詳細は、文部科学省のホームページに掲載されています。
4. おわりに
以上、「地方自治」の仕組みの中で、主に教育に関わることを中心に、牛久市民としてできることを、わりと身近でやり易そうなことから、ちょっと大変そうなことまで、簡単にご紹介しました。
私たちには、「ミニ国家うしく」の主権者として大きな権限が保証されていますが、まだそれを活かし切れていないのが現実のようです。
例えば、直近の牛久市長選挙の投票率は 37.79%、牛久市議会議員選挙の投票率は42.18%でした。
どちらの選挙も、投票した人は有権者全体の半分以下です。
しかし、逆に考えれば、これからの未来において、私たちが「ミニ国家うしく」の主権者としての権限を最大限に活かし切れば、牛久市をより良いまちにできる伸びしろがあると言えるでしょう。
ひとり一人の牛久市民が、眠らせている力を目覚めさせて、皆で集まり協力していけば、きっとそれができるはずです。