ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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児童養護施設から自立する子どもたちに一番必要なこと

「夢は持たなくてもかまいません。常に確たる目標を持ち、その目標に向かって努力を惜しまなければ、やがて夢のような奇跡が起きるでしょう。」

これは、カレーハウスCoCo壱番屋創業者の宗次德ニさんの言葉です。

有名な話ですが、宗次さんは、このような生い立ちです。

  • 実の親のことは何も知らない。3歳まで孤児院にいた。
  • その後、養父母に引き取られた。
  • 養父がギャンブルにのめり込み、財産を失う。
  • 小学生の時に、養母は、行方も告げずに出て行ってしまった。
  • 養父はギャンブルを止めず、貧しい生活が続き、家事とアルバイトに追われる。
  • 養父は、高校生の時にガンで亡くなった。
  • 高卒で就職した。

逆境を前向きに捉えながら愚直な努力を続け、今の「ココイチ」を創り上げた宗次さんのケースは、私が実施している児童養護施設の中高生向けキャリア教育プログラム「あかるいみらい作戦会議」の中で取り上げています。

宗次さんの言う通り、18歳で児童養護施設から自立する子どもたちに、最も必要なのは、具体的な自立のイメージがわかる目標だと思います。

まだ世の中のことを知らない子どもたちに、「自立」という曖昧な言葉を伝えても、具体的にどうすればいいかわからないからです。

そこで、施設の自立支援コーディネーターの方と、次のような目標を設定しました。

■社会的養護からの「自立」目標(19歳、または23歳の時点で目指す状況)

  1. 概ね年間250万円以上の所得を得て、世帯主として安定した住居を構えている
  2. 概ね5年以上の継続就労とエンプロイアビリティの向上が見込まれる職業に就いている
  3. 日常生活の中で発生する問題に対して、必要に応じて他者の支援を仰ぎながら自己の責任において対処し、社会的規範に沿った行動ができる

そして、誠に勝手ながら(笑)、通商産業省の「社会人基礎力」をベースに私が翻案し、「社会的養護キャリアビジョン」として以下の概念図を作成しました。

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ポイントは、「世帯主として社会生活を維持する力(生活者基礎力)」を明文化して付け加えたことです。

基本的に、「あかるいみらい作戦会議」のプログラムは、この概念図に沿って開発しています。
ただし、子どもたちに、こんな図を見せてもポカーンとするだけなので(笑)、もっとシンプルにして伝えています。

例えば、毎月、集合セッションの冒頭で、こんなスライドを見せています。

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そして、以前の記事にも書きましたが、その目標を実現するために作戦(計画)を立てて実行していくことが大切だという話を、何度も繰り返し、紙に下書きとして書き出して具体化していくように、プログラムを進めていきます。

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 このように、施設の職員さんと子どもたちとキャリアコンサルタントの私との三者が、卒園後の自立のイメージついて、同じ目標を共有しながら達成に向けて一歩ずつ進んでいます。

なかなか真っすぐに最短距離でという訳にはいきませんが(笑)

でも、冒頭の宗次さんの言葉通り、目標を意識し続けていけば、きっと「夢のような奇跡」が起きることを、まずは、私が信じようと思います。