ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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児童養護施設の子どもたちが、明るい未来を拓くには?

児童養護施設の生活で培った強みを活かせば、夢を諦めずに社会に出て活躍できる。

これが、私がキャリア教育を行っている児童養護施設の子どもたちに対する想いです。
決して、「かわいそうな子どもたちへの支援」というようなスタンスではありません。

心の中で、こんな風に思って子どもたちと関わっています。
「キミたち、みんなそれぞれイイもの持ってるよ。その個性を活かせば施設を出てから活躍できるよ。そして人の痛みがわかる優しさを持って世の中を明るくしてくれ。」

そういう気持ちをわかってもらうのはなかなか難しいのですが・・・(笑)
でも、全く押し付ける気はありません。

最近、児童虐待事件が増え、児童相談所児童養護施設に対する社会の関心も高まっているようです。
メディアの取り上げ方の傾向は、どちらかといえば、ネガティブな側面に偏りがちに見受けられます。

確かに、施設で育つ子どもたちは、ごく一般的な家庭で育つ子どもたちに比べて、様々なハンデがあるのは事実です。

だからと言って、施設の子どもたちを、「かわいそう」とか「助けてあげるべき」といったような目で見る風潮については、私としては違和感があります。

世の中の大人たちが、そのような偏見を持ってしまうと、施設の子どもたちにもネガティブな影響を与えてしまうように思えます。

私は、施設で育った「経験」を「強み」に変えてしまえば、子どもたちが明るい未来を拓ける可能性が高まると思っています。

もちろん、色々な見方はありますが、児童養護施設を出て自立している当事者の方の中にも、私と同じように考えている人が多いようです。

私が現在実施中の児童養護施設向けのキャリア教育に、子どもたちの未来のロールモデルとして参加してくれている田中麗華さんの、ネットメディアに掲載されたインタビュー記事には、こう書かれています。
田中麗華さんは、以前の記事でも紹介しましたが、児童養護施設出身で、現在会社員として仕事をしながら、フリーランスでモデルやコメンテーターとして活躍している方です。

「こんなかわいそうなところで育ったんだ」そう思われることで、児童養護施設で暮らしている子どもたちや、児童養護施設出身者の自己肯定感が下がってしまうことを田中さんは危惧しています。

インタビューのなかで、「児童養護施設のネガティブな点はありますか?」という質問に「特にありません」と田中さんは答えました。その反面、ポジティブなところはいつも賑やかなところ、人を気遣う心が育つところ…などぽんぽん飛び出します。

児童養護施設について、ポジティブに発信したいと考えている田中さん。それが、施設で暮らしている子どもたちや、児童養護施設出身者にも良い影響があるのではないかと考えているのです。

田中麗華さんには、全体で集まる集合セッションの中で、子どもたちの前で話をしてもらったり、子どもたちのプレゼンテーションにフィードバックをしてもらったりしています。
そうすると、田中さんが児童養護施設のポジティブな側面を見ていることから発するオーラが伝わるのか、子どもたちも前向きな姿勢になり、自然とイキイキしてきます。

やっぱり、物事全部そうだと思いますが、ネガティブな面を見るよりポジティブな面を見た方が、いい方向に流れていくと思います。

では、どうやって施設の子どもたちの目を、ポジティブな方向に向けていけばいいのか?

現在実施中の、「あかるいみらい作戦会議」というキャリア教育プログラムの集合セッションで使っているスライドのごく一部をご紹介しておきます。

まず、以下のスライドを見せて、児童養護施設で育った経験を、「強み」として捉える考え方の例を話します。

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次に、施設で培った「強み」と「自分らしさ」をかけ合わせれば、オンリーワンの存在になれるということを話します。

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こんな話をしながらセッションを進めてくると、子どもたちが、だんだん施設を退所した後の自分の夢や目標を意識するようになります。
どんな感じかは、田中麗華さんが公式サイトに書いてくれた、レポート記事を参照してください。

では、自分の夢や目標を実現するにはどうすれば良いのか?
「実は、それはとってもカンタン。次の3つだけ意識してね!」
という話をします。
シンプルだけど本質的な問題解決の原則です。

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そして、上の3つのステップを適切に進めるためには、確かな「情報」を集めることが必要であることを話します。

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要は、まとめるとこんな感じだよね。
という内容のスライドです。

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以上、「あかるいみらい作戦会議」のプログラムの、ほんの一部をご紹介しました。

最近では、給付型の奨学金も充実してきて、児童養護施設の子どもたちに対する、経済的な追い風は強くなっています。

では、その経済的な追い風を、いかにうまく利用するか?

それが「自立」の成否を分けるポイントになると思います。

「自分には強みがある」という自己肯定感や、「やればできる」という自己効力感がなければ、お金があっても壁に当たってしまうかもしれません。

やはり、児童養護施設の子どもたちが明るい未来を拓くには、自分の経験を「強み」に変えるポジティブな姿勢を持つことが大切だと思います。

毎月2回、施設を訪問していますが、少しでも子どもたちの役に立てるよう、引き続き頑張っていきます!