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はじめに
「キャリアコンサルティングって何なんですか?」
出会った方にキャリアコンサルタントを名乗ると、良くこんなことを訊かれます。
キャリアコンサルタントが国家資格となりましたが、まだまだ、「キャリアコンサルティング」という言葉の意味は一般的には知られていないようです。
たぶん、「キチンと」キャリアコンサルティングを受けたという方は、かなり少ないでしょう。
実は、何が「キチンとした」キャリアコンサルティングとは何なのかということも、ハッキリとはしていません。
でも、一般の方が、いざ「キャリア」について悩んだ時に、何とかしたいと思っても、そもそも「キャリアコンサルティング」がどういうものかを知らなければ、それを受けようとは思えないでしょう。
「キャリア」の意味については、既にこのブログで取り上げました。
以下の記事を参照してください。
「キャリアコンサルティングって何なんですか?」
冒頭に挙げたこの質問に対する、絶対的な回答は無いと思います。
あくまでも、「キャリアコンサルティング」は、一つの用語に過ぎないので、人や組織によって色々な意味付けができるからです。
しかし、そう言ってしまっては身も蓋もないので・・・(笑)
これから、その質問への色々な視点からの回答を書いておきます。
最後に、私がキャリアコンサルティングを実施する際の考え方をお話します。
狭い意味での「キャリアコンサルティング」の定義
公的な定義について
まず、「狭い」意味での「キャリアコンサルティング」の公的な定義の一例として、厚生労働省の見解をご紹介します。
労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者や離転職者等に対して、職業生活の節目などに実施される相談のことをいいます。
出典:キャリア・コンサルティングQ&A - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/qa/syokunou/career/dl/qa.pdf
ちょっと難しい言い回しですね。
つまり、働こうと思っている人が、自分の力で、仕事を選んだり生活と上手くバランスがとれるようになるための相談のことを、キャリアコンサルティングだと言っているようです。
私は、以前の記事で、「キャリアとは人生そのもの」という考え方をお伝えしましたが、「キャリアコンサルティング」を狭い意味で捉えると、働く人を対象とした仕事・職業に関する相談ということになります。
では、例えば、転職しようかどうしようかというような、仕事に関する悩みを抱えた方に対して、具体的にどんなことをするのでしょうか?
キャリアコンサルティングの全体像
次に、キャリアコンサルティングの具体的な内容を含めた全体像について、ご説明します。
まず、厚生労働省の見解をご紹介します。
①自らの職業経験の棚卸し(振り返ること)や適性検査等を通じた自己理解、
②労働市場や企業に関する情報提供等を通じた職業理解、
③職業体験等を通じた職業に対する動機づけ等を行った上で、
④今後の職業生活や能力開発に関する目標設定を行い、
職業選択や教育訓練の受講等キャリア形成のための主体的な行動に結びつけていくものです。※出典:キャリア・コンサルティングQ&A - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/qa/syokunou/career/dl/qa.pdf
やっぱり、お役所なので難しい言い回しですが・・・(笑)
言っていることは正しいので、以下に、わかりやすく図にまとめました。
図をパッと見ると、ずいぶん色んなことをやるような感じがするかもしれませんね。
例えば、「手法」は、図中に書いたもの以外にも色々あります。
その中から、私のようなキャリアコンサルタントが、相談される方にあった適切な「手法」を選んで実施するので、すごく大変なんじゃないかという心配はしなくて大丈夫だと思います。
また、図中の「手法」のところに、「カウンセリング」という言葉があります。
「キャリアカウンセリング」という言葉も、一般的に良く使われているので、「キャリアコンサルティング」と混同しやすいかもしれません。
キャリア「コンサルティング」とキャリア「カウンセリング」の違い
次に、キャリア「コンサルティング」と、キャリア「カウンセリング」の違いについて、私の考えを書いておきます。
結論から言えば、「キャリアコンサルティングの全体像」で示した図の通りです。
つまり、キャリア「カウンセリング」は、キャリア「コンサルティング」を行う場合の、「手法」の一つと考えれば良いと思います。
「カウンセリング」と聞くと、なんか難しそうな感じもしますが、要は、キャリアコンサルタントと相談者の方との、「言葉によるコミュニケーション」です。
ただし、「コンサルティング」も「カウンセリング」人や組織によって、色々な定義があります。
実際は、同じ意味で使われる場合も多いです。
あまり違いにこだわらなくて良いと思いますが、キャリアについてどこかに相談しようと思ったときは、具体的に何をするのかを事前に確認しておいた方が良いでしょう。
以上が、「キャリアコンサルティングって何なんですか?」という質問に対する、狭い意味での回答になります。
では、広い意味での回答はどうなるでしょうか?
広い意味での「キャリアコンサルティング」の定義
専門的な定義
次に、「広い」意味での「キャリアコンサルティング」の専門家の間で良く知られている定義の一例として、全米職業指導協会(NVGA)の見解をご紹介します。
職業及び、キャリア・カウンセリングは、職業、キャリア、生涯にわたるキャリア、キャリアの意思決定、キャリア計画その他のキャリア開発に関する諸問題やコンフリクトについて、資格を持つ専門家が個人または集団に対して働きかけ、援助する諸活動である。
※出典:「キャリアコンサルティング 理論と実際」木村 周 著
上の文章では、「キャリア・カウンセリング」という表現になっていますが、「キャリアコンサルティング」と読み替えて良いと思います。
私も、この定義を踏まえて、キャリアコンサルティングを実践しています。
プレイフルキャリア研究所の考え方
最後に、私が運営しているプレイフルキャリア研究所が提供するキャリアコンサルティング・サービスの考え方を簡単にまとめておきます。
・定義
「キャリア」とは、人生そのもの。
「キャリアコンサルティング」とは、人生の意味を問い直し、心の中に眠る「生きる力」を大きく開花させること。・対象となる方
生きている人間すべて。
・取り扱う問題の範囲
広い意味での「キャリア(人生そのもの)」に関わることすべて。
・成果
モヤモヤした気持ちがスッキリして、自らワクワクして行動できるようになる。
これは、かなり幅広すぎる考え方かも知れません。
しかし、最初の間口を広くとって、誰でも気軽に入ってきてもらうことを、一番大切にしています。
「なんか、人生相談みたいなもんなの?」と訊かれそうですが、あえて否定はしません(笑)
「何でもアリかよ!」と突っ込まれたとしたら、「そうです」と開き直ります(笑)
キャリアに関する悩みは、最初は漠然とモヤモヤした感じで、自分でも何が問題でどうしたいかも言葉にできないことが多いものです。
マジメに言うと、国家資格キャリアコンサルタントの倫理規定では、相談される方の問題に応じて、キャリアコンサルタントとして対応できない場合には、適切な専門家をご紹介することになっています。
まずは、キャリアコンサルタントに一言話しかけたり、メールを送ったりすることが、漠然としたモヤモヤ感の解消への第一歩になると思います。
とっかかりは「何でもアリ」ですが、締めくくりには、相談内容に合った適切な道筋をつけることができると思います。
以上、プレイフル研究所のキャリアコンサルティングに関する考え方をご紹介しましたが、もっと詳しく知りたい方は、以下の公式サイトをご覧ください。
終わりに
長々とキャリアコンサルティングとは何かということを書いてきましたが、やはり、スッキリと「コレ!」というような回答は難しかったですね。
結論めいたことを言うとすれば、キャリアについて誰かに相談しようと思ったときに、このような質問をした方が良いということです。
「あなたが提供する『キャリアコンサルティング』とは何ですか?」
その回答と、この記事に書いてある一般的に知られた内容と、だいたいズレが無ければ、ある程度信頼して大丈夫だと思います。