ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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タイムマシンを使わずに過去を変える簡単な方法とは?

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※画像はイメージです

よく人を励まそうとして、「過去を変える事は出来ないけれど、未来は変えられるよ!」と言ってくれる人がいます。

もちろん前向きで良い言葉だと思いますが、私は少し違うと思っています。

それは、「過去を変える事は出来ない」という部分なんです。

私は、過去は自由に変えられると思っています。
別に、こっそりタイムマシンを発明した訳じゃないですよ(笑)

確かに、過去に起きた事実そのものを変える事は出来ません。

でも、「暗い過去」を「意味ある過去」に変える事なら、きっと出来るはずだと思っています。

その方法とは、「過去の意味を問い直す自問自答の対話」です。

私の父は既に他界しましたが、アルコール依存症で貧しく、社会的な地位も、世間一般の基準では高くはありませんでした。

私は子どもの頃からそんな家庭で育ったので、色々とイやな出来事も多く、やはり世間一般の基準から見れば、暗い過去を背負っていたのかも知れません。

しかし、私の心の中に、以下のような問いを立てることによって、父の人生に「意味」を見い出すことができると思います。

「父が、その精神の病との苦闘の生涯を賭けて、息子に伝えたかったことは何か?」

もちろん、父は、私に何かを伝えるために生きていた訳ではないでしょう。

しかし、私は、その問いを立て、父の人生や育った家庭での出来事を振り返ることを通して、「人間に対する洞察」を深めることができます。

私の父を、一般的な「善悪」の視点で評価してしまえば、「悪い父親」になってしまうかもしれません。

しかし、その人生の「意味」を問い直すならば、このような答えもできると思います。

父は、私の「人間力の師」であった。

父は、私に、人の心のネガティブな側面を、身をもって見せてくれました。

孤独や貧困に苦しむ姿。
薬物(アルコール)に溺れ、廃人のように堕ちていく姿。
自分で自分をコントロールないことに苦しむ姿。
取り戻せない過去を悔やみ続ける姿。
無力な自分を、自分で責め続ける姿。

もちろん、これは、アルコール依存症がもたらす患者の姿です。
他の人から見れば、「弱い」人間だと思われるかもしれません。

しかし、誰の心の中にも、そのような「弱さ」が潜んでいるのではないでしょうか?

人の心の中にある弱さや、人生の階段から堕ちていく紙一重の危うさ。

例えば、そのような人の姿を見つめることで、自らの人間力を磨き、他の人との関わりを良きものにできる可能性を高められると思います。

そして、未だ修行の途中ではありますが、その「人間力」が、私のソーシャル・キャリアコンサルタントとしての活動を支えているように思います。

父は、私の「人間力の師」であった。

その答えが、正しいかどうかは問題ではありません。
果たして、良い親だったのか悪い親だったのか、それも問題ではありません。

本当に大切なのは、自らの過去に、どのような「意味」を与えれば人生を良きものにできるか、ということだけです。

ナチス強制収容所に囚われていた、有名な精神科医のV・E・フランクルは、その著書「それでも人生にイエスという」の中でこう言っています。

人生はたえず、意味を実現するなんらかの可能性を提供しています。
ですから、どんなときでも、生きる意味があるかどうかは、その人の自由選択にゆだねられています。
人生は、「最後の息を引き取るときまで」意味のあるものに形づくることができるといってもいいでしょう。
人間は、息をしているうちは、そもそもまだ意識があるうちは、人生が出す問いにそのつど答えていくという責任をになっているのです。

それでも人生にイエスと言う

それでも人生にイエスと言う

  • 作者: V.E.フランクル,山田邦男,松田美佳
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 1993/12/25
  • メディア: 単行本

「過去の意味付け」は、自分の心の中の「自問自答」によって、自由に変える事ができます。
そうすれば、「あんな出来事があったから今の自分がある」とはっきり言えるようになるでしょう。
(ちなみに、過去の意味付けを変える事を、心理学ではリフレーミンングと言います)

だから、私は、自分の経験からも、こう言いたいと思います。

「未来」は、まだ無い。
「過去」は、自由に変えられる。
そして、「現在」を輝かせることができる。

ごく一般的なキャリアコンサルティングのプロセスには、「自己理解」というパートがあります。
自分の過去のキャリアを振り返り、その意味を問うことは、未来のキャリアをデザインする上でとても大切なワークになります。

そのワークの答えは、だれも否定することのできない、「自分にとっての正解」なのです。
しかし、それは、いくら人工知能が進化しても代わりに答えることができない、人間だけにしか出せない「正解」なのです。

多分、私たちが生きているうちは、タイムマシンは発明されないでしょう。
でも、そんな高度な科学技術がなくても、私たちは、意味ある幸せな人生を生きるために、簡単に、そして自由に、過去を変えることができるのです。