ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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人生をかけがえのないアートにしてくれる言葉

私は幼い頃、カトリック系の幼稚園に通っていました。
そのまま敬虔なクリスチャンとして育った・・・訳ではなく、今では、初詣や都合の良いときだけ神頼みするような、日本人に多い宗教に無節操なタイプです。(笑)

でも、なぜか、卒園の時に先生がくれたメッセージは、大人になった今でも心の片隅に残っています。

「天国に行ったら、きれいな心を神様にお返ししましょうね」

自分はやんちゃな子どもだったので、当時はよく意味がわからなかったと思いますが、「いつか心を神様に返す」というイメージは、不思議と子ども心に刻まれたようです。

そして、その言葉の意味については、むしろ大人になってから少しわかるようになった気がします。

その意味とは、「命は自分の所有物ではなく、宇宙からの借り物」ということではないか?

当たり前と言えばそれまでですが、人は自分の意志や力で生まれてくるものではありません。

大げさかもしれませんが、宇宙の起源から脈々と続いてきた、物質や生命の進化の現れであると言えるでしょう。

また、人は社会的な生物であり、生まれてからも一人だけの力で命を保つことはできません。

大人になってから、改めてそう考えてみると、自分の命とは、「宇宙からの借り物」であると言えなくもない、と思えてきました。

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もし、命が借り物であるのなら、いつか返さなければならないのなら・・・。

もっと大切にしたくなるのではないでしょうか。

そして、命が借り物であるとすれば、返すとはどのようなことなのでしょうか?

その問いを立ててみると、「使命」という言葉が浮かんできます。

借りた命を使って、人生で何を成し遂げるのか?

それが人それぞれの「使命」であり、それを果たすことで、身近な人や社会も含めた世界によい影響を与えることが、「命を返す」ことではないかと思います。

今まで、企業やNPOでの活動を通して、色々な方々と、有り難い出会いのご縁を結んで頂きました。

逆境を克服してボランティア活動に取り組む若者達、起業家やグローバルに活躍してきたリーダーの方、イノベーションを成し遂げた方をはじめ、高い志をもって精力的に活動している方々と会ってお話をすると、皆さんに共通するものを感じます。

それは、自らの原体験に根差した使命感を持っていて、自分以外の誰かの役に立ちたいということを行動の動機としていることです。

だからといって、自分を犠牲にしてるわけでもなく、むしろ楽しんでワクワクして生きているように見えます。

改めてそう振り返ってみると、もしかしたら、幸せというのは、借り物である命を使って、その成果を世界に返していくプロセスにあるようにも思えてきます。

もちろん、「使命」といっても人それぞれで、一見大きなものも小さなものもあるでしょう。

生まれてくる環境や遺伝などもあり、人は最初から違っていて、自分では選べない部分も多いものです。

そんな違いとしての個性を活かして人が果たす「使命」というのは、たとえ小さく見えたとしても、価値があるものだと思います。

多くの人に影響を与えた経営思想家のドラッカーは、こんな言葉を遺しています。

選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、正確には、何をしたら良いかではなく、自分を使って何がしたいかである。

人は、「自分を使って何がしたいか」という問いに対する答えを生きて行く過程で、色々な経験や思考の積み重ねが、あたかも絵の具の様に、心のキャンバスにオリジナルのアートを創り出して行くんだと思います。

そして、「神様に返すきれいな心」とは、そのようにして創り出された、かけがえの無い世界でたった一つのアートなのかも知れません。

きっと神様は心が広いはずでしょうから、どんなアートでも、一所懸命に創ったものならキレイと言ってくれるでしょう。
そう言ってもらえないと、恥の絵の具で塗りつぶされた私の心は行き場をなくすので困ります(笑)

「命は自分の所有物ではなく、宇宙からの借り物である」

このような考え方は、現代科学の研究成果を踏まえても、全く荒唐無稽ではないと思います。

エリッヒ・ヤンツは、複雑系の科学の名著と呼ばれている著書「自己組織化する宇宙」の中で、こう書いています。

自己組織化する宇宙―自然・生命・社会の創発的パラダイム

自己組織化する宇宙―自然・生命・社会の創発的パラダイム

  • 作者: エリッヒ・ヤンツ,芹沢高志,内田美恵
  • 出版社/メーカー: 工作舎
  • 発売日: 1986/09/01
  • メディア: 単行本

過去から未来にいたるすべての進化的プロセスが、現在という瞬間にある自分の中に凝縮される。
過去の経験にもとづく生物の情報と未来を予想する神経の情報とが、われわれという空間的広がりの中に凝縮されるのだ。
自省段階の心は全世界を個々人と関係させるだけでなく、個々人を全世界と関係させる。
こうしてこの段階で、われわれ全員がマクロシステムに対する<責任>を引き受けることになるのだ。
自分たちの社会システムに対する責任だけではない。
全惑星の生態関係に対する責任、果てはこの惑星を超えた宇宙に対する責任をも引受けるようになるのである。

さすがに、かなり難解な言い回しですが・・・。

「神様」とか「使命」とか「宇宙」などと、ちょっと宗教っぽいというかアブナイ感じの言葉を使っていますが、テキトーではなく、いちおう色々と勉強した上で言っていると思ってもらえれば幸いです(笑)

「天国に行ったら、きれいな心を神様にお返ししましょうね」

実は、この言葉が正しいか間違っているかは、どうでもいいことなんです。

その言葉を信じて生きた方が、幸せになれるような気がするのなら、きっとそれだけで充分なんです。