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これから活躍するのは「クロー人」~能力を磨く AI時代に活躍する人材「3つの能力」

タイトルの「クロー人」とは、決して「クローン人間」の書き間違いではありません(笑)
漢字で書けば「苦労人」です。

今、世界で、AI(人工知能)の急速な進化と普及の流れが加速しています。
そのような時代の変化の中で、「AIに仕事を奪われる」ことに不安を感じている人が増えているようです。

では、AIに仕事を奪われずに活躍するのは、どのような人材なのでしょうか?

それが、「クロー人(苦労人)」なのです。

「苦労人・・・なんか古臭い言葉だなあ」と思う方も多いでしょう。

では、なぜ、高度なテクノロジーが発達するAI時代に、古臭い「苦労人」が活躍するのでしょうか?

その答えは、多摩大学大学院の田坂広志名誉教授の新著、「能力を磨く AI時代に活躍する人材『3つの能力』」に書かれています。

田坂教授は、本書において、人がAIに仕事を奪われる「AI失業の危機」と、その危機を「好機」に変えるために必要な能力を教えてくれています。

どうすれば、AI失業を免れ、それをチャンスに変えて活躍する人材になれるのでしょうか?

考え方としてはとてもシンプルです。
AIが苦手で人間にしかできない能力を磨くことです。

では、そのような、「人間にしかできない能力」とは何でしょうか?

決して一つではありませんが、最も大切なのは「共感力」でしょう。

田坂教授は、本書の中で、こう書いています。

AIには、感情を共有するという意味で、相手に「共感」することはできず、従って、人間の代わりに「共感力」を持つことは、原理的にできない。

いくら「人工知能」とは言っても、原理的には、電卓のような「計算機」に過ぎません。
AIを機能させるには、膨大な「教師データ」のインプットが必要になります。
AIは、過去の情報に基づいて計算しているだけなのです。

「共感」とは、「人が、今、ここで、感じていること」を、共有することです。

AIが、「今、ここ」で感じている人間の生身の感情を分かち合うのは、いくら計算能力が向上しても、絶対に無理でしょう。

このように書くと、「共感力」とは、心理カウンセラーなど限られた職業に求められる能力で、一般的なビジネスパーソンには関係ないのではないか?と、思われるかもしれません。
実は、それは大きな勘違いです。

例えば、企業の中で働くマネージャーにとっても、最も高めなければならない能力が、「共感力」なのです。

クレームをつけてきた顧客の気持ちに「共感」できるか?
失敗して落ち込んでいる部下の気持ちに「共感」できるか?

共に働く人々や顧客に共感できなければ、これからの価値観が多様化する時代において、リーダーシップを発揮するのは難しくなるでしょう。

単にタスクを割り振るだけのマネジャーは、まさに「AI失業」の可能性が高い人材なのです。

では、人の「共感力」を高めるのは何なのでしょうか?

それは、「苦労した経験」です。

田坂教授は、本書の中で、こう書いています。

なぜなら、我々は、自分自身に、それなりの「苦労」の経験がなければ、何かに苦労している人に対して、本当には「共感」できないからである。

たとえ、その相手と同じ経験を持っていなくとも、自分自身にも、苦しい思いをしたり、辛い思いをした色々な苦労の経験があるならば、多少なりとも、その相手の気持ちを推察し、想像することができるだろう。

昔から言い古された言葉ですが、「若いころの苦労は買ってでもせよ」というのは、まさに真実だと思います。

そして、その古い言葉が、新たな「AI時代」を生きる人々にとって、最も大切な言葉として蘇ってきます。

しかし、ただ苦労をすれば「共感力」が高まるわけではありません。

大切なのは、自分が苦労した経験をどう捉えるかという「解釈力」です。
例えば、苦労した経験を、嫌なこととして捉えてしまい、思い出したくないと記憶を封印してしまったとしたら、そこで成長は止まってしまいます。

その「解釈力」は、どのような「人生観」を持っているかに左右されます。

田坂教授は、本書の中で、こう書いています。

人生や仕事において我々に与えらえる苦労や困難は、自分という人間を成長させるために与えられたものであり、その苦労や困難には、すべて、深い意味がある。
それゆえ、その意味を考えて歩むとき、我々は、大きく成長できる。

つまり、一見ネガティブな経験をポジティブな成長の機会として「解釈」する人生観が、「共感力」の土台になるということです。

AIには、過去のデータに対して、統計的な「傾向」を見出すことはできますが、「意味」を与えることはできません。

人が、自らの人生の「経験」をどう解釈し、どのような「意味」を与えるのか?
その答えは、AIには出せません。
それは、「正解」のない問いだからです。

田坂教授は、本書の中で、高学歴の人材ほど淘汰されやすいと言っています。

高学歴の方は、「正解」のあるペーパーテストで高得点を得る能力には長けています。
しかし、それはいくら優秀であっても、所詮AIには敵わない能力なのです。

特に、これからの時代を生きる若い方ほど、苦労を厭わず、その経験の意味を問う修行を積むべきでしょう。

もちろん、その他にも、磨くべき能力はあります。

本書には、「AI時代」に対応するための能力の磨き方が具体的に書かれています。

キャリアコンサルタントとしても、自信を持ってお勧めできる一冊です。
より多くの方に読んで頂くことを願っています。