茨城県つくば市の児童養護施設「筑波愛児園」で、私が開発を進めていた「あかるいみらい作戦会議」という自立支援キャリア教育プログラムをスタートさせました。
開発のコンセプトについては、以下の過去記事をご覧ください。
関係者の皆様の多大なご支援により、9月23日(日)に初回のセッションを開催することができました。
当日の様子をカンタンにご紹介します。
筑波愛児園の概要については、以下のホームページをご覧ください。
支援団体からの寄付などにより施設が改築され、このような交流スペースも設置されています。
ここが、子ども達の「作戦会議」の会場になります。
施設で暮らす中高生達が16名参加してくれました。
職員さんのお話によると、かなり高い参加率だったそうです。
まずは、「作戦ナビゲーター」として、プログラム全体を統括・進行する役割の私から、「あかるいみらい作戦会議」の趣旨を説明しました。
子ども達に、肯定的な未来のイメージを持ってもらうためには、同じ境遇で育ったロールモデルが必要です。
このパートは、児童養護施設出身モデルとして活躍する田中麗華さんが登場してくれました。
田中さんは、10年間児童養護施設で暮らし退所後も色々な苦労をしながら、「ミスユニバース2018茨城大会準グランプリ」のタイトルを獲得した、とてもステキな女性です。
子ども達の幸せを願う熱い志を秘めながらも、自然体の温かな雰囲気で話をしてくれました。
男子はもちろんのこと・・・(笑)、女子も憧れの視線で田中さんを見つめていました。
終了後の、田中さんの話を聞いた子ども達の感想を見ると、こんな風に感じていたようです。
「田中さんがカワイイ」
「施設出身の人でも色々な職業に就くことができる」
「将来の夢について考えてみようと思った」
「卒園後の大変さ、お金の必要性がわかった」
「少し先の自分の生活を考えてみようと思った」
「不安があったけど、自分だけじゃないし、一人でもやっていけることがわかって少し安心した」
こんな声を見ると、少なくとも、子ども達にとって、田中さんをロールモデルとして自分の未来を考え始めるきっかけになったことは間違いないようです。
田中さんも、当日の「児童養護施設出身センパイトーク」の感想を、ホームページに掲載してくれました。
以下のリンク先をご覧ください。
次に、作戦ナビゲーターの私から、「では、田中さんの ように、施設を出た後もキラキラするにはどうすればいいの?」ということで、「あかるいみらい作戦」を作るための考え方を説明しました。
「あかるいみらい作戦」とは、一言で言えばこうなります。
まずしさ、さみしさ、生きづらさ。
3つの天敵に勝って、オトナの世界で生き残り、
幸せになるための「自分らしい作戦」。
子ども達にとっては、だんだん話が難しくなってきて、ちょっとついてくるのが大変そうでしたが・・・(笑)
しかし、子ども達の心の中に、早いうちから未来を考え始めなければならないという意識が、少しだけ芽生えてきたような手応えは感じました。
最後に、筑波愛児園の自立支援コーディネーターの大澤亮さんが、子ども達へ、「あかるいみらい作戦会議」にかける熱いメッセージを送りました。
自立支援コーディネーターとは、児童養護施設で、退所後のアフターケアも含めた子ども達の円滑な自立をサポートする専門職です。
大澤さん自身が、現場の中で、退所後に苦労したり社会の闇に消えていった子ども達の姿を直に見ています。
だからこそだと思いますが、温かくも厳しい言葉を織り交ぜながら、子ども達に真剣に向き会う姿勢で語っていた姿を見て、私の胸も熱くなりました。
初回は約3時間近いセッションとなりましたが、熱い志を持った大澤さんと田中さんを始め、色々な方のご支援を得ながら、「あかるいみらい作戦会議」を立ち上げることができました。
セッション終了後の子ども達の振り返りを見ると、「楽しかった」という声もあれば、「今まで考えていなかったので不安になった」という声もありました。
しかし、参加してくれた子ども達のほとんどは、自分の未来を創ることを「自分ごと」として捉えてくれたように思います。
たとえ「不安」を感じたとしても、それは、何も考えていない状態から大きな一歩を踏み出した証だからです。
このプログラムは、月に1回の集合セッションやホームワークが1年間続くので、実はこれからが正念場です。
また、今後は、普段から筑波愛児園の子ども達の学習をサポートするボランティア活動を行っている「筑波大学社会福祉研究会」の学生の皆さんも、趣旨に賛同して頂き「あかるいみらい作戦会議」をサポートしてくれます。
その活動については、以下のホームページをご覧ください。
今回も、嬉しいことに4名の学生の方が参加してくれました。
私にとっては、色々な関係者の皆様と参加してくれた子ども達に、心から感謝を捧げたくなるような記念すべき日となりました。
子ども達の「あかるいみらい」を実現するために少しでも力になれるよう、ソーシャル・キャリアコンサルタントとして、また、インストラクショナル・デザイナーとして、真剣に努力を続けていきたいと思います。