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負の連鎖を断ち切るために 〜心の傷を癒す責任

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最近のテレビや新聞などでは、日本の子供の貧困や児童虐待が大きな社会問題として取り上げられることが多くなってきました。
児童養護施設に子供が入所する理由も、親との死別や病気等ではなく、虐待や酷使が大多数を占めているそうです。

 

 
そのような子供たちは、質の高い教育の機会も得られず、大学進学率は全国平均の4分の1以下で、経済的にも不安定な状況に陥る場合があります。
また、子供の頃に受けた心身の痛みを引きずり、自分自身が子供を持ったときに、自分が受けたと同じような仕打ちをしてしまうことも現実にあります。
 
そのような状況は「貧困・負の連鎖」という社会な問題として、クローズアップされてきています。
 

 

子供の頃に、心身が傷つくような環境で育った人の事を、心理学用語では「アダルトチルドレン」と言います。

 

「AC」と略して呼ばれることも多いです。
 

 

元々は、「アルコール依存症の親がいる家族で育った人」という意味でしたが、もっと広い意味に変わって来ています。
今では、「Adult Children of Dysfunctional Family(子どもの成育に悪影響を与える親のもとで育ち、成長してもなお精神的影響を受けつづける人々)」という定義が一般的になっています。
 

 

良く勘違いされる言葉でもありますが、決して、「大人になれない子供」という意味ではありません。
 
逆に、子供の頃から大人のように振る舞わなくてはならなかったケースが多いのが、アダルトチルドレンであるとも言えるでしょう。
 

 

アダルトチルドレンについては、以下の「アダルトチルドレンと癒し」(西尾和美著)という本を読むとよくわかります。

 

 

 

私は、この本の中で特に重要なのは、次の一文であると思っています。
 

 

「機能不全な家族で育った人は、自分をいたわり、自分の癒しをする責任があるのです」
 

 

もちろん、心の傷を受けたこと自体は、本人の責任ではありません。
でも、自分の傷に閉じこもらず、それを癒して行くのは、とても大切で責任がある行為なんです。
 

 

なぜ、「責任」なのか?

 

 
それは、心の傷を受けて歪んでしまった自分の心が、他の人に悪影響を与えてしまう場合もあるからです。
そうならないためにも、自分自身をしっかり癒す事が大切になるんですね。
 

 

そして、著者の西尾和美さんは、こうも書いています。
 

 

「自分を癒すという仕事の後には、自分のよりどころとなる安全な場所を現実につくり、健全な人間関係をつくっていくという仕事が待っています。そして、そうした人々がやがて子供たちを傷から守る事もできるようになっていくでしょう。」

 

 
私事なので詳しくは書きませんが、私自身も「アルコール依存症の親がいる家族で育った人」です。
私が小学生の頃から父はアルコール依存症になりました。
(もうかなり昔に他界しましたが・・・)
 

 

それが原因で、しばらくしてから母とは離婚したのですが、私は父と二人で暮らし続ける事になりました。
 
身体と心がぼろぼろになるまで酒を飲み続けては入院し、退院してしばらくすると酒を飲み始める事の繰り返し。
 
私は頼れる家族もなく、一人で父の面倒を見続けていました。
当然、経済的にもかなり厳しい状況に追い込まれ、日雇いの肉体労働をやったりして、日々を何とか乗り切っていました。
その頃は、心は疲れきってマイナス思考に支配されていました。
 

 

それから時間が経ち、父が他界したり色々な事がありましたが、今の私はその頃よりも少しだけ幸せになっているかも知れません。
どんな状況にあっても、辛いと思うかどうかは自分の受け止め方次第ということも事も学びました。
 

 

「自分を癒すという仕事」と「自分のよりどころとなる安全な場所を現実につくり、健全な人間関係をつくっていくという仕事」という大きな二つの仕事を、幸いなことに、私は自分なりに成し遂げることができたように思います。
 

 

確かに「負の連鎖」を断ち切ることはできましたが、振り返ってみると随分と回り道をしていたかも知れません。
 

 

先に書いた「二つの仕事」は、一人で抱えるには重いもので、誰かのサポートが必要だと思います。
 
確かに、西尾和美さんの言う通り、本人に「自分の心を癒す責任」はあるのですが、実際に自分の心を癒して成長していくためには、心理学などに関する知識やスキルも学ぶ必要があります。
 
「負の連鎖」を断ち切るには学び続ける事が重要ですが、やはり独力だけでは難しいことでしょう。
やはり、社会的にサポートすることも必要だと思います。
 

 

質の高い教育などの「負の連鎖」を断ち切るためのサポート体制があれば、より多くの人々が潜在的な能力を発揮して新たな価値を創造する力を持つ事ができるはずです。
 
そして、それが社会全体のさらなる経済的な発展にもつながっていくことでしょう。