ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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人の成長を支援するためのシンプルなモデル

日本企業においては、指導的な役割を担う人によって、それぞれの経験や勘のようなものから、社員に対する教育への関わり方の想いが異なることも多いようです。

イノベーションが求められる時代だから、個性を尊重して自由にさせるべきだ」

「組織の規律を徹底するために、トップダウンで細かく指導すべきだ」
 
例えば、このように色々な意見があると思います。
 
しかし、大切な事は、指導的な役割を担う方が、もはや企業内人材育成は「科学」であるということを自覚し、「想い」ではなく「理論(theory)的」なモデルに沿って適切な関わり方を選択することです。
 
では、人の成長を支援するためには、どのような関わり方をすれば良いのでしょうか?
 
そのモデルを、応用行動学などを基にシンプルな図にしてみました。

 

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まず、成長を支援する相手となる組織のメンバーそれぞれの、成長の基盤となる人としての個性や属性などの多様な人間性については、肯定的に受容し共感すべきでしょう。
 
しかし、組織の一員として、新たな価値を生み出すために何らかの貢献ができる能力を高めていくには、受容・共感のみでなく、何らかの指導的な関わりも必要になります。
 
例えば、組織がメンバーの能力の総和を超えた相乗効果を生み出すためには、個人がバラバラになるのではなく共通の目的に向かって統合されていなければなりません。 そのためには、組織を方向付けるための規律を、メンバーに対して教育することが必要になります。
 
指導的な関わり方については、メンバーの知識・スキルや、行動を選択する態度(attitude)のレベルが上がっていくに従って、指導的な役割を担う人の関わり方も、徐々に変わっていきます。
 
図で示している、ティーチング、コーチング、メンタリングなどの言葉の意味合いについては、絶対的な定義があるわけではありません。 しかし、一般的には、ティーチングよりメンタリングの方が、直接的に指示をしたり、情報を伝えたりする度合いは少なくなってくるとされています。
 
要は、成長していくに従って、成長を支援する側の指導的な関与の割合が少なくなってくるということです。
コーチング、メンタリングのごく一般的な意味合いについては、以下のサイトを参照してください。
 
■日本の人事部
 
 
・メンタリングとは? http://jinjibu.jp/keyword/detl/312/
 
世界的に有名な経営学者ジェームズ・C・コリンズは、著書「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」の中でこう書いています。
 
「偉大な実績に飛躍した企業は、はっきりとした制約のある一貫したシステムを構築しているが、同時に、このシステムの枠組みの中で、従業員に自由と責任を与えている。みずから規律を守るので管理の必要のない人たちを雇い、人間ではなく、システムを管理している」
 
人材育成においても、「自由」と「管理」のバランスが重要になります。
指導者が、自由度が高く主体性を尊重する「受容・共感」や「メンタリング」が有効な段階、管理の度合いが高い「ティーチング」が有効な段階を客観的に把握し、その状況に応じた適切な関与を柔軟に選択すれば、より効果的に人の成長を支援できるでしょう。

※参考文献
 
「入門から応用へ 行動科学の展開―人的資源の活用」生産性出版
ポール ハーシィ (著), デューイ・E. ジョンソン (著), ケネス・H. ブランチャード (著),
山本 成二 (翻訳), 山本 あづさ (翻訳)
 
インストラクショナルデザインの原理」北大路書房
ロバート・M. ガニェ (著), キャサリン・C. ゴラス (著), ジョン・M. ケラー (著),
ウォルター・W. ウェイジャー (著), 岩崎信(監訳),鈴木克明(監訳)