ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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世界を変えるシンプルでパワフルな質問

 

 
環境の変化が激しい時代であるとは良く言われていますが、仕事においても生活においても、実際に自分の周りに起こった大きな変化に直面した時、どんな行動を選択するのか?
 
また、環境が大きく変わっているのに、周りの人々が何も動こうとしないとき、その中で自分はどんな行動を選択するのか?
 
それによって、人としての成長の方向性が大きく変わってきます。
 
では、どうすればポジティブな方向に進む事ができるのでしょうか?
また、周りの環境をより良い方向に変えて行くためには、どうすれば良いのでしょうか?
 
実は、認知心理学の研究やイノベーションの実例からも、その答えは既に明らかになっています。
 
日本の教育工学の第一人者である同志社女子大学上田信行教授は、著書「プレイフルシンキング」の中で、人は変化に直面したときに、タイプによって、 以下の画像に書いた二つの質問のどちらかを選ぶと言っています。
 

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変化を恐れるべきものとしてではなく、成長やより幸せになるためのチャンスであると捉え、実際にそれを実現して行く人が選ぶ質問は・・・。
 
How can I do it? (どうすればできる?)
 
上田教授は、こう書いています。
 
「自分の行動によって引き起こされる予測不可能な変化に対して、『怖い』と感じるのか、『楽しい』と感じるのか。『Can I do it?』タイプの人は「怖い」と感じ、『How can I do it?』タイプの人は『楽しい』と感じるのである」
 
以前の記事で、キャロル・ドゥエックのマインドセットに関する理論を紹介しましたが、その実践のための最も簡単で効果的な方法とは、たった一つのシンプルな質問だけなのです。
 
単に「How can I do it?」の方を選べば良いだけなのです。
 
自らへの問いかけを変えるということは、「認識を変える」ということです。
 
上田教授は、教育工学や関連領域の認知心理学などの理論を踏まえて、こう言っています。
 
「『世界とはこういうものだ』とあなたが感じている世界は、見方を変えればいくらでも違った世界に見えてくる。つまり、あなたの認識によって世界を作り変えることができる」
 
極論すれば、質問だけで世界を変えることができるということが、理論として明らかになっているのです。
 
では、「How can I do it?(どうすればできる?)」に対する答えを見つけていくために大切なのはどのようなことなのでしょうか?
 
それは、まず「楽しむ」ことです。
 
上田教授は、「プレイフル・シンキング」という概念を提唱しています。
それは、次のような姿勢です。
 
「プレイフルとは、物事に対してワクワクドキドキする心の状態のことをいう。どんな状況であっても、自分とその場にいる人やモノを最大限に活かして、新しい意味を創り出そうとする姿勢とでも言ったらいいだろうか」
 
実際に「プレイフル」な心の状態が、好ましい結果をもたらすことは、ビジネスの現場においても実証されているといって良いと思います。
 
イノベーションの手法として有名な「デザイン思考」を生み出した、世界的に有名なデザイン会社IDEOの創業者である、トム・ケリーとデイヴィット・ケリーは、著書「クリエイティブ・マインドセット」の中で、こう書いています。
 
「この数年、私たちは色々なチームと一緒に仕事をしてきて、人は不安を抱えているとベストの力を発揮出来ないことに気づいた」
 
やはり、不安を抱えていると「Can I do it?(私にできるだろうか)」と考えがちになり、目の前の課題そのものよりも他者からの評価が気になり、良いアイディアも出しにくくなってしまいます。
 
だから、「楽しむ」ためには、自分の中で失敗に対する恐れを克服しておく必要があります。
 
そのためには、チャレンジするときには失敗がつきものであることを受け入れ、自分の間違いを率直に認める姿勢をもたなければなりません。
 
トム・ケリーとデイヴィット・ケリーは、こう書いています。
 
「間違いを認めることは、前に進むためにも大事だ。そうすることで初めて、隠蔽、正当化、罪悪感という心の落とし穴を避けられる。それだけでなく、素直さ、誠実さ、謙遜を通じて、自分自身のブランドも高められるかもしれない」
 
では、間違いや失敗を率直に受け入れられるようになるにはどのようにすれば良いのでしょうか?
 
エマーソンという詩人が、「怖いと思うことをしなさい。さすれば恐怖は確実に去る」と言っていたそうですが、失敗の場数を踏むことが、その恐れを消し去る秘訣と言えるでしょう。
 
そして、失敗の場数を重ねていくような、挑戦的な行動の原動力を、トム・ケリーとデイヴィット・ケリーは、「クリエイティブ・コンフィデンス(創造力に対する自信)」と呼んでいます。
 
「基本的に、創造力に対する自信とは、『自分には世界を変える力がある』という信念を指している。別の言い方をすれば、自分のしようと思っていることを実現できるという確信だ。そして、自分の創造力を信じることこそ、イノベーションの『確信』をなすものなのだ。こうした自信は筋肉のようなものだ。努力や経験次第で、強くしたり鍛えたりできる」
 
結局、自らに降り掛かった変化をチャンスに変えるには、どうすれば良いでしょうか?
 
その答えは、今まで書いてきた通り明らかになっています。
 
「クリエイティブ・コンフィデンス」を持ち、「How can I do it?(どうすればできる?)」という問いに答えるプロセスを、「プレイフル」に進めていけば良いのです。
 
そうすれば、たとえささやかでも、何か世界を変えることにつがっていくかもしれません。