ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

社会起業家×キャリアコンサルタント=ソーシャル・キャリアコンサルタント → より幸せな社会の実現を目指して

人材開発のプロフェッショナルとしての「あるべき姿」を描く指針

ATD(ASTD)では、人材開発のプロフェッショナルがの職責を果たすための能力として、コンピテンシーモデルを提唱していましたが、2013年より改訂しました。

 

ATDのWebサイトでは、以下のように(英語ですが)とてもわかりやすく提示されています。

 

The ASTD Competency Model™

 

f:id:YOU50:20180705135643p:plain


ATDのコンピテンシーモデルを、私なりに要約すると以下のようになります。

・Performance Improvement(人材パフォーマンスの向上)

HPI(あるいはパフォーマンスコンサルティング)と呼ばれる、体系的な手法を使って、人が関わって発生するパフォーマンスのギャップを分析し、解決に結びつけることができる能力。

・Instructional Design(インストラクショナル・デザイン)

人材開発プログラムを、様々な方法論・手法を用いてインフォーマルな場におけるものも含め、多面的に設計・開発していく能力。

・Training Delivery(研修の供給・実施)

研修などの人材開発プログラムを、目的を達成するために本来の効果が得られるよう確実に実行し、フォローしていくための能力。

・Learning Technologies(学習のための技術)

学習ニーズを満たすために、最適な技術を幅広い領域から選択し、実際に活用出来る能力。

・Evaluating Learning Impact(学習効果の測定・評価)

学習に関する効果測定基準や分析手法を活用する能力。

・Managing Learning Programs(学習プログラムの管理・推進)

組織の人材戦略の完遂に向けて、研修などのプロジェクトを成功させるためにリーダーシップを発揮する能力。

・Integrated Talent Management(タレント・マネジメント)

一貫した人材開発戦略を通して、組織全体の価値観・能力や参画意識を形成していく能力。

・Coaching(コーチング)

他の人に対し、適切な目標を設定し達成に向けて行動する力を向上させ、強みを最大限に発揮出来るよう、体系的なプロセスに沿って支援する能力。

・Knowledge Management(ナレッジ・マネジメント)

組織としてナレッジを共有し恊働を促進するために、適切に知的資産を管理し、効果的に活用出来る仕組みを確立する能力。

・Change Management(組織開発・変革)

様々な規模の組織や個々の構成員に対し、体系的な手法を使って、旧来の慣行的な状態から新たな目指すべき姿へと変革する能力。

以上は、人材開発の専門領域における能力となっていますが、その基盤となる汎用的な能力や行動特性も提示されています。

例えば、自らが個人の能力開発の模範となる姿勢や、日本ではEQと言われているような感情を統制する能力なども、必要とされています。

このモデルを見ると、人材開発のプロフェッショナルとして仕事の質を高めていくためには、かなり幅広い領域の知識・スキルや行動特性が求められることがよくわかります。
恐らく、このコンピテンシーモデルの各領域における最低限の知識レベルだけでも網羅的に理解しておかないと、バランスを欠いた仕事になってしまうでしょう。

それは、このモデルが、視覚的には、以前のピラミッド型から現在の五角形へ改訂されたことにも象徴されています。
10項目のコンピテンシーに序列がなく、どれも重要であるということを図解で表しているのです。

ATDでは、このモデルの開発にかなり力を入れてきたようです。 とても良く練り込まれたものになっていると思います。

人材開発に携わる人々にとって、高度なプロフェッショナルとしての「あるべき姿」を明確にしてくれる、最適な指針と言えるでしょう。