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初めてマネジャーの辞令をもらったときのプレッシャーを楽にするガイドブック〜「駆け出しマネジャーの成長論」


4月から新たにマネジャーに任命された方も多いと思いますが、数ヶ月が過ぎ、やりがいを感じながらも色々と思い悩んだこともあったのではないでしょうか。

そのような方々のために、以前、「初めてリーダーになった方に贈る5冊の本」という記事を書き、主に古典的名著を中心にご紹介しました。

また最近、新たに良い本が出版されたのでお勧めしておきます。

このブログでも著書を度々取り上げている東京大学 大学総合教育研究センターの中原淳准教授 の「駆け出しマネジャーの成長論 7つの挑戦課題を『科学』する」です。

書名に「科学する」とありますが、学術的な本ではなくページ数も適度な新書です。
とても平易な文章で、経験の浅いマネジャーにとって大切なポイントが、簡潔に書かれています。
また、書かれている内容については、企業の現場で働くマネジャーを対象とした「科学的」な調査から得られた知見が元になっているので、日々の仕事のヒントにできる実践的なものになっています。

本書は、概ね課長レベルを想定して書かれているようですが、プレイヤーから新たにマネジャーとして「生まれ変わり」を求められるようになった人に、以下のようなメリットを与えてくれると思います。

・悩んだり迷ったりしているのは自分だけではないことがわかり、心が楽になる。
・悩みや迷いを整理して客観的に振り返り、「内省」できるようになる
・乗り越えるべき課題と、その課題に対処するための基本的な原則を知ることができる

これらは、マネジャーとして成長する上でとても大切なポイントとなります。

マネジャーの仕事に対する研究も進んできていますが、その力量を高めるためには、やはり「経験」からの学びが最も重要であると言われています。

「経験」から学ぶためには、自らの心の中を客観的に振り返って「内省」することが必要です。
しかし、心の中が、自責の念や漠然とした迷いや悩みに覆われたままでは、客観的に振り返ることができなくなってしまいます。

著者からはこのような示唆が投げかけられています。

「焦らず、あきらめず、少しずつ前進する。そのときには『揺れる感情をモニタリングして、うまくつきあうこと』が求められます。」


「最初からマネジャー村のキーパーソンになれる人はいません。マネジャーになるには、このように揺れる感情とうまくつきあいつつマネジャーとして直面しなければならない挑戦課題に向きあい、マネジメントの要諦を経験のうちから学び取っていく必要があるのです」

では、その「揺れる感情」のパターンにはどのようなものがあるのでしょうか?

本書では、ネガティブな感情を以下の4つに分類しています。

1.目標達成不安
 自分のチームや職場が目標を達成できるかどうかという不安
2.板挟み不安
 上司と部下の間に挟まれてディレンマを抱えてしまう不安
3.業務量不安
 業務量をこなせるかどうかという不安
4.現場離脱不安
 現場を離れることについての不安

私自身の経験を振り返ってみても、マネジャーとして感じた不安は、だいたい上の4つだったように思います。
漠然とした不安も、このように分類してみると、客観視する上での助けになるのではないでしょうか。

では、そのような不安とも向き合いながら挑戦すべき課題とは何なのでしょうか?

本書には、以下の7つの挑戦課題が挙げられています。

1.部下育成
2.目標咀嚼
3.政治交渉
4.多様な人材活用
5.意思決定
6.マインド維持
7.プレマネバランス(ブレイングマネジャーとしての自分の業務とマネジメント比率の調整)

それぞれの課題の特質やその対処については、本書の中で簡潔にまとめられています。

先に書いたように、マネジャーとして挑戦課題を克服し力量を上げていくには、「経験」から学ぶべきで、個々の状況に対応する具体策は自分で考えるしかありません。

しかし、それを助けてくれるガイドブックとして本書を手許においておけば、マネジャーとしての旅立ちの方向に迷うことはなくなるでしょう。

本書では、このようなメッセージが投げかけられています。

「マネジャーになって直面する課題は、決して『ひとりの課題』ではなく、『みんなの課題』です。時に悩んだり、つまずいたりすることもあるのは、決して、あなただけではありません。そのような課題に直面したとしても、うろたえず、現状を振り返り、原理・原則に配慮しつつ、次のアクションを決めていく。そのことから逃げないでれば、きっとポジティブな方向に向かうのではないかと僕は信じています。」

私も、現在のマネジャーの成長を支援する人材開発の立場や、自らのマネジャーとしての経験から、このメッセージが真実であることを確信しています。