ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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リーダーシップの閉塞感から抜け出すカギになる「サーバント・リーダーシップ」

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「われわれは深刻な『組織の失敗』という時代に生きている」
 
VISAインターナショナルの創設者のディー・ホック氏がこのようなことを言っていますが、企業において組織の中で働く人々は、様々な問題があると感じているように思います。

 

 
組織の問題を解決していくには、より良いリーダーシップが必要だとよく言われます。
また、組織をマネジメントしていく中で問題に直面し、行き詰まりを感じているリーダーの方も多いようです。

 

 
もし、組織に起こる問題の解決が必要な状況に置かれて、「今までのやり方では通用しないのではないか?」というような疑問を抱き、行き詰まりを感じた時があったら、「サーバント・リーダーシップ」について考えてみると、新たに視野が開けるかもしれません。


「サーバント・リーダーシップ」というキーワードは、一度は耳にしたことがあるかたも多いと思いますが、AT&Tのマネジメント研究センター長や、MIT、ハーバービジネススクールの客員講師を歴任したロバート・K・グリーンリーフ氏(1904〜1990)が1970年に提唱した考え方です。

 

その考え方を一言で言うと、こうなります。

 

 
「サーバント・リーダーとは、まず『奉仕したい』という自然な感情からくる使命感を持ち、それから人を『導きたい』と考える人」

 

 
一般的には旧来のリーダー像とは対極的なイメージとして捉えられることが多いのですが、簡単に概要を理解するには、日本サーバント・リーダーシップ協会のWebサイトを参照すると良いでしょう。

 

 
 

 

 
 
 

 

そして、「サーバント・リーダーシップ」の実践について考えるための本が、記事の冒頭に画像リンクを掲げた、ロバート・K・グリーンリーフ氏の著書「サーバントリーダーシップ」です。
576ページと分厚く、かなり読み応えがあります。

 

 
「サーバント・リーダーシップ」に関する知識を得るのであれば、「サーバント・リーダーシップ入門(金井 壽宏・池田 守男 著)」という、日本での事例や対談も交えて大変わかり易く解説してくれる好著もあります。

 

 

 

あえて本書を手に取る意義とその必要性は、グリーンリーフ氏の言葉に直に触れることで、あたかも対話しているかのごとく、自分自身を振り返りながら一緒にリーダーシップについて考えることにあります。
 

 

なぜなら、「サーバント・リーダーシップ」とは、人を都合よく動かすためのスキルではなく、リーダーとしての「在り方」についての基本的な哲学のようなものだからです。
 
本書に前書きを寄せている「7つの習慣」の著者として有名な、スティーブン・R・コヴィー氏は、このように書いています。

 

 
「サーバント・リーダーの性質がほかの人々と違う決定的な点は、彼らの生き方の指針が『良心』、つまり善悪の区別を付ける、心の中の道徳的感覚だということだろう。この性質が決め手となり、『ただ機能する』リーダーシップと、『持続する』リーダーシップ ー たとえばサーバント・リーダーシップ ー の差が生まれる」

 

 
つまり、「サーバント・リーダーシップ」を実践するためには、自らの人間性を問い直し、より高めていくことが求められるということです。
だから、知識として理解するのではなく、自分だけの答えを「考える」ことが必要になるのです。
 

 

先に、「行き詰まり」を感じたときこそ「サーバント・リーダーシップ」について考えると良いというようなことを書きました。
 
それは、それまでの自分に馴染んでいた考え方ややり方では解決できないような問題に直面して「行き詰まり」を感じたときこそ、人間性を高め新たな自己に成長するための機会だからです。

 

 
「苦しむだろうが、傷つくことはない。なぜならどの喪失も、何かを失う前よりも大きくなれる可能性を約束してくれるからだ」

 

 
グリーンリーフ氏はこう書いていますが、そこで、サーバント・リーダーシップという新たな哲学に基づいて行動することができるようになれば、リーダーとしての自分とフォロワーの新たな成長につながっていきます。

 

 
「行き詰まり」を感じているときは不安になり、つい手っ取り早く効果が出そうな方策に飛びついてしまいたくなるものですが、そのような時こそ、立ち止まってじっくりと考えるべきなのかもしれません。

 

 
グリーンリーフ氏はこのように書いています。

 

 
「充分に道に迷わなければ、自分自身を見つけることはできない。確認のためのこんな言い方もできるだろう。自分自身を見つけられない人は、充分といえるほど迷っていない」

 

 
では、「自分自身を見つける」とはどういうことなのでしょうか?

 

 
本書からグリーンリーフ氏はこう問いかけてきます。

 

 
「『あなたは何をしようとしているのですか』。これは尋ねるのは簡単だが、答えるのはいたって難しい問いだ」

 

 
「自分の価値観や能力(判断力も含めて)に自信がなかったり、目標の追求をサポートする、持続させる精神がなかったりすれば、リーダーは信頼を勝ち取れない。夢がなければ、大きなことは起こらない。そして素晴らしいことを起こすには、大きな夢がなければならない」

 

 
グリーンリーフ氏が投げかけたような問いに、自分なりの答えを考えることが、周りの人々(フォロワー)が思わずついて行きたいと思うような、今までよりも大きく意義深い目標を生み出すことに繋がっていくと思います。
そして、周りの人々が成長できるように奉仕をしながら、目標の実現に導くこともできるようになるでしょう。

 

 
本書を読むことは、誰にとっても、「奉仕」と「導き」を両立させるサーバント・リーダーへの旅立ちのきっかけになると思います。