ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

社会起業家×キャリアコンサルタント=ソーシャル・キャリアコンサルタント → より幸せな社会の実現を目指して

「U理論」の分かり難さを乗り越えるには?

 

主にイノベーションやリーダーシップ開発、組織開発などに係る方々の間で、徐々に「U理論」への関心が高まっています。

 

「U理論」はMITのオットー・シャーマー博士が提唱しているもので、日本でも2010年にその著書の翻訳本「U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な『変化』を生み出す技術」が出版されました。

 

しかし、とても分厚い本なので、読むのを躊躇してしまう方や、読んでも難解と感じたり、内容に抵抗を感じて敬遠したりする方も多いようで、まだ一般的に浸透しているとは言いがたい状況かもしれません。

 

「U理論」という言葉を初めて目にした方は、以下の解説記事や、オットー・シャーマー博士のメッセージビデオを参照してください。

 

ITmedia エグゼクティブ:「出現する未来」からイノベーションを生み出すには
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1208/29/news013.html

 

◆オットーシャーマー博士メッセージビデオ





確かに「U理論」には難しい側面はありますが、これからの時代にはますますその実践が必要とされるようになってくるものだと思います。

 

また、今年、2014年以降は、徐々にU理論の背景となっているような価値観が、新しい世界の常識になる傾向が加速していくことは間違いないと思います。

 

やはり、U理論がビジネスパーソンにとって難しく感じる部分は、精神世界的というか宗教っぽいイメージではないでしょうか。

 

例えば、先に紹介したビデオの中で、オットー・シャーマー博士はこんなメッセージを投げかけます。

 

「宇宙(ユニバース)からあなたに提案されることにオープンになってください」

 

こんな言葉を聞くと、「何かアブナイ感じがする・・・」「何か宗教っぽい・・・」などと感じてしまう方もいるでしょう。

 

確かに、U理論は、仏教や禅などの東洋思想的な精神世界の哲学の要素も抱えています。
そして、従来は重要性は認識されていても理論化しにくかった東洋思想的な要素を、フレームワークと手法に落とし込んでいるところがU理論の大きな特長でもあります。

 

いわゆる経済的な合理性を拠り所とするビジネスパーソンにとっては、そのような東洋思想的なイメージは馴染みにくいでしょう。

 

しかし、恐らく、これからはビジネスにおいても東洋思想的な精神性を重んじることが新しい常識となってくることが予想されます。

 

以下、「WIRED」のWebサイトの記事の一部を引用します。

 

間に合わせの禅堂として使われているのは、シリコンヴァレーのグーグル本社キャンパス内にある、蛍光灯で照らされた典型的な会議室だ。メンを含め参加者のほとんどはグーグル社員である。「自己探索」と題された瞑想の講座は社内カリキュラムの一環で、 感情のコントロール方法を教え、仕事に役立てようというものだ。「頭を空っぽに」とメンが参加者に合図する。次は、失敗と成功についての瞑想だ。

 

 

これまで、のべ1,000人以上のグーグル社員が「自己探索」を受講してきた。人気を博しているこの講座を受講しようと、400人以上が順番を待っている。さらにグーグルでは、禅僧ティク・ナット・ハンを2011年に招聘して以来、祈りの鐘を鳴らす以外に音を立てない「マインドフル・ランチ」を隔月で開催している。最近は、ついに歩行瞑想用の迷路までつくった。

 

出典:WIRED シリコンヴァレーが、いままた「禅」にハマる理由
http://wired.jp/2013/12/29/enlightenment-engineers-vol9/

 

この記事を読むと、グーグルのような先進的なグローバル企業において、現実逃れの新興宗教的な意味合いではなく、ビジネスの成果を高めるための価値観や手法として、東洋思想的な精神性の良い部分を取り入れようとする姿勢が良くわかると思います。
そして、グーグルのような取り組みを始める企業も徐々に増えています。
また、スティーブ・ジョブスが若い頃に東洋思想に傾倒していたことも有名な話です。

 

少し難しい書き方をしてしまったかもしれませんが、要は「自分の心の内側に目を向ける」ことが、これからますます複雑化するビジネス環境を乗り越えるために必要となっていくということです。

 

「学習する組織」で有名なピーター・センゲ氏は「U理論」に寄せた序文で、こう書いています。

 

「新たな行動にはさらに深い気づきが、それまでの経験の枠から踏み出し、知的な思考を超越したところで心から『感じる』こと、開かれた心が必要となる」

 

いままでのビジネスの価値観であった、経済的合理性やロジカルシンキングのようなものも重要であることは間違いではありません。

 

しかし、それだけでは、環境の変化に対応できない時代になっています。

 

もし「U理論」が難しいと感じたら、「自分の心の内側に目を向ける」ような意識や行動を持って本を再読すると、以前より理解が深まるかも知れません。

 

また、2014年1月21日には、「U理論」の翻訳者である中土井僚氏の著書「人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門」が発売されます。

U理論のセミナーも定期的に開催されているので、興味がある方は参加してみると良いでしょう。

 

http://www.presencingcomjapan.org/event/index.html

 

私も「U理論入門セミナー」に参加した事がありますが、オットー・シャーマー博士の著書のイメージとは良い意味で違った、楽しく分かりやすいセミナーでした。

 

より多くの方が「U理論」への理解を深め、実践にチャレンジすることは、企業の活性化やより良い社会の実現につながっていくことでしょう。