ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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イノベーションに向けて「ワークショップのその後」をデザインするヒントとなる本

以前の記事で、ワークショップで創造的なアイディアを導き出すための公式について書きました。


では、そのアイディアをそのままで終らせるのではなく、実際にイノベーションにつなげていくにはどのようにすれば良いのでしょうか?


思い切って単純化すれば、以下のような公式にできると思います。


アイディア×リーダーシップ×組織構造=イノベーション


アイディアについては、例えば、新製品のコンセプトであったり技術的ブレイクスルーのようなイノベーションの起点や促進要因となる概念を指します。


リーダーシップとは、そのアイディアを世に出すために人々を結束させるリーダーの情熱や影響力を指します。


組織構造とは、イノベーションの創出に適した組織文化や経営ビジョン、仕組み等を指します。


つまり、創造的なアイディアがあったとしても、それを実現する強い信念を持ったリーダーがいなければ、イノベーションは起らないということです。
また、優れたリーダーがいたとしても、チームのメンバーの創造的な活動を許容するような組織構造がなければ、やはりイノベーションは起らないのです。


それは、発明王として有名なエジソンが良い例になっています。


エジソンは、一般的には、白熱電球を発明したと思われています。
しかし、白熱電球はイギリスのジョセフ・W・スワンが1879年に発明したものです。

エジソンは、電球を発明したのではなくスワンの会社を買収して、ビジネスモデルとして電力供給システムを世に普及させたのです。


つまり、エジソンの真の功績は、ビジネスリーダーとして、白熱電球という「アイディア=発明」を、イノベーションに結実させたリーダーシップにあると言えます。


また、エジソンは、様々な分野の専門家を集めて「エジソン研究所」を設立し、コラボレーションにより多くの発明や特許を生み出しました。

そのエジソン研究所は、組織構造の視点からみると以下のようになっていました。


エジソンは、理論に明るい科学者やエンジニアだけでなく、手作業の得意な職人を入れた混成チームをつくり、一定の年間予算の下で実験を管理するやり方で数多くのプロジェクトを並行して進めていきました。どのような実験をするのか、その権限はエジソンにありましたが、そのやり方や創意工夫は、現場に委ねられていました」

※出典
紺野登+目的工学研究所著「利益や売り上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか」P160


現代では、先進的企業と言われるグーグルが、このエジソン研究所と良く似たスタイルを持っているそうです。


やはり、エジソンも、実験室に一人でこもっていたのではなく、以下の公式を実践したことで多くのイノベーションを創出したと言えるでしょう。


アイディア×リーダーシップ×組織構造=イノベーション


では、現代においては、上の公式の変数をどのように高めていけば良いのでしょうか?


そのヒントを与えてくれるのが以下の本です。


◆アイディアについて「発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」



イノベーションを促進させる技法としての「デザイン思考」がかなり広まってきていますが、もともとは、AppleのPCやマウスをデザインしたことで有名なIDEO社が以前から提唱していたものです。

アイディア創出のワークショップで使われる技法のほとんどが、IDEO社の手法がベースとなっていると言っても過言でないくらいです。

アイディア創出の重要なエッセンスは、この本を読めば理解できます。


◆リーダーシップについて「イノベーションの作法



様々なヒット商品や新規事業の事例について、日本のイノベーション研究の第一人者である野中郁次郎教授が、プロジェクトのリーダー的な役割を担った人の思考行動特性を分析した本です。


大きくはイノベーションを実現に導くリーダーの能力や条件を以下の4つにまとめています。


1.真・善・美の理想を追求しつつ、清濁合わせ呑む政治力も発揮する

2.場づくりの力を持つ

3.ミクロの中に本質を見抜く直感力とマクロの構想力を持つ

4.論理を越えた「主観」の力を持ち「勝負師」のカン」を磨く


これだけ見ると独特の言葉遣いもあるので分かりにくいかも知れませんが、本の中では具体的で豊富な実例に即して書かれているので、リーダーの条件は理解しやすいと思います。


特に、以下のような文章を読むと、イノベーションの実現においては、論理性よりも人間性が重要になることを痛感させられます。


「自分は何をやりたいのか、そもそも自分は何のために存在するかと自らに問い、悩む中で生き方を見定める。自らの生き方を確立していない限り、人間には、ものごとを主体的に考えたり、新しいものを創造することはできず、ましてや環境を変える程のイノベーションは起こせない」


◆組織構造について「知識創造企業」



1996年に出版され世界的に評価が高い名著で、既に読んでいる方も多いと思います。

本書の中で提唱されている「ミドルアップダウン」や「ハイパーテキスト型組織」の重要性は、今でも低下していないでしょう。


イノベーションを促す組織構造を考える上で、再読してみると、改めて有益な示唆が得られると思います。


以上の3冊の本を読むだけでも、イノベーションの実現に向けて、アイディアを世に送り出すための「ワークショップのその後」に何をすべきかについてヒントが得られると思います。