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「ワークショップデザイン論」〜創ることで学ぶ

 

近年、ビジネスの分野においても「ワークショップ」に対する注目が高まっています。

 

元々は、ワークショップとは「工房」という意味で、物が作られる場所を表していました。

では、なぜ「工房」がビジネスの分野でも注目されるようになったのでしょうか?

 

「工房」には、物を作るという「創造」と、物を作るということを通して、はたらく人々が「学ぶ」という2つの側面があります。

「工房」では、学校の授業のような座学での学びとは違う「経験」からの実践的な「学び」があります。

 

企業においても、より「創造性」が求めらるようになっています。
そしてその創造性を伸ばしていくには、既定の知識を伝授するだけの、一方的な集合研修では不可能です。

 

そのような背景があって、ビジネスの分野において、創造性を高める実践的な学びの場として、「工房」が注目されているのでしょう。

 

では、その「工房=ワークショップ」はどのように創れば良いのでしょうか?

 

「ワークショップ」という言葉の捉え方は、様々ですが、一言で言えば「創ることで学ぶ活動」になるでしょう。

 

これは、冒頭に画像リンクを掲げた、「ワークショップデザイン論」での定義です。

 

創るものは様々で、ビジネスの分野では新規事業のアイディアのような場合もあるでしょう。

 

本書では、ワークショップを実践している研究者の方々が、その手法について理論的な背景を含め、体系的に解説しています。

 

一般的な研修の開発においては「インストラクショナル・デザイン(ID)」という手法が一般的ですが、ワークショップのデザインにおいては、多少異なる考え方が必要となりますが、本書ではこう書かれています。

 

「IDは教育目標が明示されることが前提となっており、明示された教育目標から設計や実装がトップダウンに行われる構造になっている。ワークショップでは教育目標が明示されないことも多く、設定される場合でもその目標から学習が逸脱することを許容しているという点において、学習目標からトップダウンに設計するIDの手法は適用しにくい」

 

簡単に言えば、「インストラクショナル・デザイン(ID)」は、「カチッと細部まで作り込む」感覚で、「ワークショップ・デザイン」は、「ユルく遊びを設ける」感覚になると思います。

 

どちらが良いとか悪いということではなく、目的によって手法を使い分ければよいということです。

 

「ワークショップ」は、当初の目標からは想定し得なかったような、予想外の学びや成果物が出る可能性も期待されるところが、既定の知識を習得させる研修との大きな違いとなります。

 

では、どのようにワークショップをデザインすれば良いのでしょうか?

 

先に引用した文章はちょっと固く感じられるかも知れませんが、例えば、ワークショップの基本構造は、以下のようにシンプルにまとめられています。

 

導入→知る活動→創る活動→まとめ

 

つまり、ワークショップデザインとは、まず参加者をリラックスさせて、前向きな姿勢を引き出し、創る活動に必要な情報を伝え、チームで創造活動を行い、その中から得た学びを振り返って言葉にするということです。

 

もちろん、そのプロセスを効果的に進めていくためには、それぞれのフェーズの中で様々な手法や工夫が必要となります。

 

また、最も重要なのは、明確なコンセプトを定めることです。

 

明確なコンセプトの形式は、本書ではこう書かれています。

 

「○○を創る(活動目標)ことで、○○を学ぶ(学習目標)」

 

ワークショップには、「楽しさ」も重要な要素となりますが、それが単なる「知的エンターテイメント」で終らないようにするには、本書で書かれているように、明確な形式でコンセプトを明文化することが不可欠になります。

 

実際に、ワークショップのベテランの実践者は、まずコンセプトをしっかり固めることに注力し、初心者はそれを後回しにして企画をすすめるという調査結果もあります。

 

ワークショップの手法や、現場でのファシリテーションの進め方に関する良書も他に多くあります。
まず、本書で、実践者や研究者の先行研究や理論も含めてワークショップに関する体系的な理解を深めておくと、そのような手法をより柔軟に使いこなせるようになると思います。

 

様々な学びのスタイルを自分なりに整理して、その中のワークショップの位置付けを明確にした上で、目的に沿った効果的なスタイルを選択できるようになれば良いでしょう。