ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

社会起業家×キャリアコンサルタント=ソーシャル・キャリアコンサルタント → より幸せな社会の実現を目指して

HR・人材開発スタッフのアイディンティティの確立につながるテキスト


先の記事HPIについて書きましたが、その実践に役立つ本が、「パフォーマンス・コンサルティングII〜人事・人材開発担当の実践テキスト」です。
1995年に出版され世界のHR関係者に大きな影響を与えた「パフォーマンス・コンサルティング(初版)」を大幅に書き直し、アメリカでは2008年に出版された本です。


「パフォーマンス・コンサルティング(初版)」の原書タイトルは、“Performance Consulting: Moving Beyond Training”で、邦訳のサブタイトルは、「人材開発部門は研修提供から成果創造にシフトする」でした。

このコンセプトを継承しながら、進化した手法を盛り込んだ「パフォーマンス・コンサルティングⅡ」は、HR・人材開発部門がより戦略的な役割を実践するために、具体的なやり方を示した「使えるテキスト」となっています。


本書では、「パフォーマンスコンサルティング」を以下のように定義しています。


「パフォーマンス・コンサルティングとは、クライアントとコンサルタントが協働し、職場のパフォーマンスを事業目標の達成に役立つように最大化することで、戦略レベルの成果を実現するプロセスである」(P17)


本書では、「コンサルタント」とは、HR部門などのスタッフの「社内コンサルタント」としての役割を主に意識しています。
また、「クライアント」とは、主に事業本部や本社の経営幹部を指しています。


より具体的には、先の記事で紹介した、本書の翻訳者の株式会社ヒューマンパフォーマンス代表の鹿野尚登氏が、自社のサイトでわかりやすく詳細に説明しています。


・パフォーマンスコンサルティング早わかり
http://www.human-performance.co.jp/category/1322011.html


先の記事で紹介した「HPIの基本」の中でも、「パフォーマンスコンサルティング」という用語が使われていますが、「HPI」と同義語と捉えて良いものです。


「パフォーマンス・コンサルティングⅡ」で説明されている手法は、「HPI」とは、プロセスや枠組み、用語などが多少違いますが、本質的には同じなので「HPIの基本」と合せて読むと多面的に理解が深まると思います。


特に、「パフォーマンス・コンサルティングⅡ」は、以下のような特色があるので、より実践に役立つものになっています。


・プロセスを進めていくためのツールの例が豊富に掲載されている

・クライアントなどの関係者に対する質問の文言の例やミーティングの進め方の例が具体的に書かれている

・具体的なケーススタディや演習によって、プロセスの進め方のイメージが理解しやすくなっている


著者の実践的な本にしたいという想いは、章立てに「パフォーマンス・コンサルティングの匠のアプローチ」という項目があることに象徴されているように思います。
この項目の英語でのタイトルは、「the art of performance consulting」なのです。

特に、「匠のアプローチ」の中では、クライアントとの信頼関係の構築の重要性が訴えられています。


また、本の全体を通して、著者であるロビンソン夫妻のパフォーマンスコンサルティングの実践に対する、熱い想いが伝わってきます。


もともとロビンソン夫妻は、研修のファシリテーターでした。
しかし、従業員が学んだを仕事で実践するためには、研修だけでなく職場環境が大きな影響を持つことに気付き、パフォーマンスコンサルティングの探求を始め、40年にわたって続けてきました。


その集大成が、「パフォーマンス・コンサルティングII」に結実しています。


本書を読むと、実践的なノウハウはもちろんですが仕事に対するスタンスなども含め、HR・人材開発部門のスタッフのアイディンティティをより強固にするために必要なことが身に付くと思います。


パフォーマンスコンサルティングのプロセスを責任を持って推進する「パフォーマンス・コンサルタント」としての役割を自覚することにより、視野も広がり能力も高まるのではないでしょうか。

そして、様々な組織において、そのような役割を担える人材に対する期待も高まっていくと思われます。


著者のロビンソン夫妻は、本書の結びにこう書いています。(P279)


「パフォーマンス・コンサルタントの需要は高まっていくだろう。というのは、パフォーマンス・コンサルタントには、事業目標と従業員グループのパフォーマンスの整合をとる能力、そしてヒューマンパフォーマンスを最大化する能力、この両方があるからだ」