
アップルの前CEOスティーブ・ジョブスが亡くなってから約3ヶ月経ちましたが、今も書店では関連本が売れ続けているようです。
偉大なイノベーターから学ぶべきことは、とても多いのでしょう。
「スティーブ・ジョブス名語録」(桑原晃弥著)という本の中から、印象的な言葉を紹介します。
「すぐれた仕事を出来ないのは、そう期待されていないからだ」
アップルは、ご存知の通り、iPhoneやiPadなど革新的なヒット商品を次々に生み出してきました。
スティーブ・ジョブスが強いこだわりを持ち、社員に対しても、品質やスピードなどかなり高いレベルを求めていたそうです。
なぜ、アップルの社員たちは、ジョブスのムチャな要求に応えて、素晴らしい製品やサービスを生み出す事が出来たのでしょうか?
それは、ジョブスが、ただ要求するだけではなく、「アップルの社員は、素晴らしいものを生み出す力を持っている」と心から信じて、その期待を社員にストレートに伝えていたからなんです。
自分は期待されていると感じている人の方が、そうでない人よりも高い成果を挙げる。
これは、心理学の世界でも「ピグマリオン効果」と呼ばれる有名な定説になっています。
ジョブスはこんな風に言っています。
「人がすぐれた仕事をできないのは、たいていの場合、彼らがそう期待されていないからだ。誰も彼らのがんばりを期待していないし、『これがここのやり方なんだ』と言ってくれる人もいない。
でも、そのお膳立てさえしてやれば、みんな自分で思ってた限界を上回る仕事ができるんだよ。
歴史に残るような、本当に素晴らしい仕事がね」
実際にジョブスと一緒に働いていた人が、「スティーブにハッパをかけられると、自分一人じゃやれないと思っていた事が出来る」と言っていたそうです。
私たちが、人の成長を願うならば、改めて次のように自分自身に問い直してみるべきなのかも知れません。
まず自分自身が、人間が持つ大きな可能性を心から信じているか?
そして、成長して欲しいと願う人に、その期待をしっかりと伝えているか?
その期待が伝わったかどうかを確かめているか?
思うように人を育てられないと悩む前に、自分自身の人に対する姿勢を見直すことが大切なのかも知れません。
ジョブスは、ピクサー・アニメーションスタジオのCEOも兼ねていました。
ピクサーについては次のように語っていました。
「我々は、十年をかけ、クリエイティブな人材とテクニカルな人材を育ててきた。外部から気軽に調達できるもんじゃないんだ。即戦力になるような人材なんて存在しない。だから育てるんだ」
やはり、人を育てるには、育てる側に粘り強さが求められると思います。
人を育てる立場、リーダーになる方は、能力の高さや成長の早さを評価されて、人の上に立つことを任される場合が多いものです。
しかし、誰もが最初から高い能力を持っている訳ではありません。
教育や指導をしてもなかなか結果がでない場合、つい相手のせいにしてしまいがちです。
そこで諦めずに、粘り強く育成を続けていく。
今は歩みが遅くても、きっと10年後には大きく育つと本気で期待し続ける。
人を育てるには、そのような姿勢が大切なのです。
「即戦力になるような人材なんて存在しない。だから育てるんだ」