ソーシャル・キャリアコンサルタント 五十嵐郁一 Official Blog

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劇団ひとりさんとディズニーランドから教わった人を育てるヒント


タレントの劇団ひとりさんが、以前、読売新聞の書評の中でこんなことを書いていました。


「年齢を重ねるにつれ、そういった『あたり前』の事が如何に正しい事であると分かり始める。
考えてみれば、人類が誕生してから数百万年、その間を生きてきた先輩方が身を挺して繰り返し実験してきた人生の研究結果こそが、その『あたり前』なのである。
僕ら後輩は何の手間もかけずにそれを実践すればいいのだから、ありがたい話だ」


よくよく考えてみると、私たちが出会うような問題のほとんどは、既に多くの人類の先輩が経験したものと本質的には同じです。


そして、その解決策の本質が「当たり前」の事なのです。

その「当たり前」は、人類の長い歴史に根ざしたものであるが故に、私たちの感覚や日々の言葉の中に溶け込んでいます。


例えば、良好な人間関係を築くためにはどうすれば良いでしょうか?


そのためには、「まず自分から笑顔であいさつをする」。


まさに、これは「当たり前」の答えで、誰も異論を唱える事はないでしょう。

でも、それをいつも実践し続けるのは意外と難しいかも知れませんね。


劇団ひとりさんも、こんな風に言っています。


「『ちゃんと挨拶をする』こんな当たり前のことも重要な研究結果である。テレビ局に行き『なんかチャラチャラした若造がいるな』と言っておざなりの挨拶をしてしまい、後にプロデューサーの息子だと知り、脇が汗でびっしょりとなったのはこの私」


私にも似たような経験があり、『当たり前』の事こそ意外とおざなりになってしまうと反省する事は多いです。


人材育成やリーダーシップ・マネジメント等においても、劇団ひとりさんの言葉がそのまま当てはまると思います。


マネジメント研究で有名なヘンリー・ミンツバーグ教授は、「どんな場面でも通用するマネジメントの必勝法など存在しない」と言っています。


確かにその通りなのですが、私は、たった一つだけ、以下のような『必勝法』があるのでないかと思っています。


「『当たり前』を素直に実践する」


やはり、色々と調べてみると、優秀な人材が多く育ち顧客に支持されている企業は、当たり前のことを素直に実践しています。


例えば、東京ディズニーランド


オリエンタルランド社員教育を担当していた福島文次郎さんは、著書「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」の中で、リーダーシップの要件について書いています。
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ディズニーランドにおけるリーダーシップとは以下の二つです。


(教える人が)
1.ホスピタリティマインドを持っている事
2.自分が模範となること


「ホスピタリティマインド」とは、相手を思いやる心のことですが、まさに『当たり前』ですよね。

聖書にも、「何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ」ということが書かれています。


また、2番目についても、古くから「率先垂範」と言われ続けてきた『当たり前』の事です。

論語にも、「まず言いたい事柄を実行し、その後で、自分の主張を述べる人こそ君子である」という意味の言葉があります。


つまり、多くの人が感動するような高いレベルの顧客満足を誇る東京ディズニーランドは、特別で斬新なことをしているのではなく、紀元前の昔から受け継がれている『当たり前』を実践しているだけなのです。


そして、人を指導するための『当たり前』を上司や先輩が実践している姿を見て、アルバイトを含めた全てのキャストが育っていくのです。


もちろん、組織的に『当たり前』の実践を徹底するためには、それなりの仕組みや仕掛けも必要です。


それも根本的な『当たり前』に立ち戻りながら、それぞれの状況に当てはめて本気で考えれば自ずから答えが出てくる事でしょう。


問題意識を持って本を読めば、諸先輩方の研究結果も参考にする事が出来ます。

「ディズニーの教え方」にも、色々なヒントが書かれています。


例えば、後輩のモチベーションを高めるためには、次のようなことが重視されています。


・笑顔のあふれる職場をつくる

・仕事の重要性を認識させる

・「誇り」をもてる環境をつくる

・指示する時は、必ず「理由」も伝える

・後輩によい点を見いだせば、すぐにほめる


これも、言われてみれば全部『当たり前』ですね(笑)


人によっては、「ディズニーは特別だ」と思うかも知れません。

でも、繰り返しになりますが、東京ディズニーランドのキャストを育てる基本的な考え方は、「ホスピタリティ」と「率先垂範」であり、特別なものではないのです。


決して「魔法」を使っているのではなく、『当たり前』を素直に実践しているだけなのです。


人材育成を進めていく中で色々な課題が出てきますが、頭の中であれこれと難しく考え過ぎるより、人類の先輩が残してくれた『あたり前』をありがたく受け取って、素直に実践していく方が良いのかも知れませんね。